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ずいぶん秋も深まって参りましたが、いかがお過ごしでしょうか。
◆先月の10/27は、本坊酒造鰍フ製造部長であった宿口修一さんの一周忌でした。 昨年10/26に屋久島出張から帰宅した宿口さんは深夜就寝中にそのまま急逝され、あまりにも突然すぎて前日までの元気な姿を知る人はみんな大変驚き悲しみました。
◆一周忌に先だって、私は10/23・24に屋久島へ渡って同社屋久島伝承蔵を訪問し、杜氏の石井律さんやかつて焼酎プロジェクト]でもお世話になった石原昭悟さんに会って、昨年当時の宿口さんの様子など伺いました。 お二人ともまだショックが残っているようでしたが、恩師である宿口さんの教えを守って醸造にいそしんでおられました。女性ならではの細やかな心配りで育成された麹やベテランの蔵人の技で仕込まれたモロミなど、いずれも美しく素晴らしい出来栄えでした。
◆かつて、林芙美子が屋久島を舞台にした小説「浮雲」には、『酒は藷(いも)焼酎とかで、鼻へ持ってくると、ぷんと臭い。 ―中略― 薯焼酎の臭いのにもいまは馴れていた。 東京で飲む焼酎と違って、頭にもこなかったし、舌ざわりも案外いい』と書かれた島の焼酎。 元々、カライモ作にあまり適しない風土ゆえに焼酎造りにも難しさがあった土地ですが、その頃と違って今は随分評価が高まってきました。 しかし、その裏には、このように焼酎造りに真剣に取り組む技術者や職人さん達の伝承の系譜があったのです。
◆私は、屋久島から帰ったその足で宿口さんのお墓参りをしました。桜島と錦江湾を望む高台で、焼酎「Be Kagoshima2011」を献じながら屋久島行の報告をして慰霊の念を奉げ、これからも見守っていただきたいとお祈りしました。 明日11/19から、また今期の焼酎「Be Kagoshima2012」造りが始まり16日間蔵入りします。 宿口さんのいない初めての年で、杜氏もこれまでの堂原憲吉さんから大迫忠彦さんに代わります。寂しさはありますが、不安はありません。 きっと、宿口さんの思いを引き継いで、これまで同様に優れた技能を発揮していただけることと思います。 |
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